2011年3月26日土曜日

帰国支援計画ー1

ずっと考えていたことだけど、先週の土曜日の夜、妻に言った。

「おれ、しばらく被災地に行ってこようと思っている」

ぼくの人生は、気がついたら「決めてから伝える」というパターンだった。何かを相談して決めたり決めなかったりということは、ほんとに少ない。親にも妻にも、重要なことはいつも自分で決めてしまう人なのだった。だから、今回のこの決心も、反対されたとしてもぼくは行くぞという気持ちのもとであったのだった。
もちろん、反対される理由はいくらでもある。まず、どうしてわざわざオーストラリアにいるあなたが行かなくちゃいけないの、あるいは、あっちは放射能とかであぶないでしょ、なんてことも。その間の私たちの生活は? 収入はどうなるの? という理由だって充分正当である。
しかし、どんな反対があったとしても、ぼくの気持ちは固まっていた。つまり「向こうにいる人たちのことを考えると、苦しい」のだ。これ以上の行きたい理由があろうか、いや行かねばならぬ理由があろうか。

そんなこんなを0,5秒くらいの間に考えていると、妻は言った。
「いいよ。いつそれをあなたが言うかと待っていた」

ものすごくあっさりと、気が抜けるくらいあっさりと妻が言った。

「うん、じゃ、行ってくる」

そんなこんなで、アッと言うまに具体的な話へと。
一番の懸案は収入の途切れることだ。わずかな貯金と照らし合わせた結果、

1.完全ボランティアなら6週間が限度
2.もし現地で収入が得られるのなら3ヶ月までOK

というコンセンサスを得た。
あとは、職場だ。月曜日、さっそく事務課のSamにメールを送る。こうこういう理由で、ぼくは日本にしばらく戻ります、つきましては4月のロスターから、ぼくの名前をすべて外して下さい。他の医者にしわ寄せが出るのは分かっているが、ぼくはもう決めたのである。

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