2011年4月1日金曜日

準備終了

本日は、朝より支援物資の受け取りと仕分け、それと買い出しを終え、おおかたの準備を整える。

本日の到着分は、沖縄北中城若松病院よりマスク・手袋・ナプキン等。それとパースのルーカスさんからは長野経由で大量のペットボトル水・米・生麺。島根の典子ちゃんからは大量の乾電池、ヘッドライト等。妻の両親と、義母の元教え子の由美子さんからは、クイックルワイパーなどのお掃除道具三セット。今日もたくさん集まりました。みなさんありがとう。

沖縄、島根、長野、東京、そして銚子の各地から集まった援助物資は、段ボール箱二十個を超えた。当初予定していたパジェロ一台には収まらないのは明らかだ。

そういうわけで、明日はパジェロとスズキ軽の二台で水戸の北にある友部に向かう。妻の両親も一緒に水戸まで来てくれることになった。友部で妻の弟の車に物資を乗せ替える。弟は8人乗りのファミリーカーを持っているのだが、「はじめさんは、車で寝泊まりするって言ってるんだろ、じゃあ、パジェロは狭すぎるよ」と言ってくれ、彼がその車を貸してくれることになったのだ。今日電話で聞いたところ、義弟は車の二列目のシートを取っ払い、三列目を完全に床に埋め込み、巨大なフラット空間を作ったのだと。「長さが二メートルあるから、はじめさん、思いっきり寝られるよ」と。

(ここで、いま余震あり。・・・すぐにおさまった。)

義弟のおかげで、ぼくはたくさんの物資を運ぶことができ、しかもキャンピングカーとしても利用できる。出発前はテントを用意していたのだが、それを使う必要はなくなった。食料もたくさん用意したので、避難所の方々の貴重なスペースにも食料にも手を付けずにすむ。よかった。

ちなみに義弟は水産食料品会社に勤めていて、被災地に向けて食糧品の提供もしたいと言ってくれている。そこのレトルトおでんは、以前ぼくは南極にも持って行ったことがあるのだが、原住民に大好評だった。

さて、大槌町に沖縄県医師会の医療チーム先陣隊として行っているドクター山代兄より、昨日注射用抗生剤の注文が入った。さっそく銚子市医師会に連絡して、手配できないかと相談していたのだが、銚子でも医薬品が十分に出回っていないということで手に入らぬと、本日連絡があった。しかし、最近のぼくはあきらめが悪いので、銚子の医薬品卸問屋に直接電話。残念ながら、注射薬は在庫においていないということであった。昨日電話していれば、千葉本店から手配できたものを・・・、と悔しがる。

しかしまだ負けぬ。今度は水戸の卸問屋に電話を入れる。二件目にかけたところに、なんと在庫あり。さっそく「沖縄県医師会」の名のもとに注文して、明日午前中に取りに行きますと伝言した。やはり、大事なことは人任せにせず、自分で動くべきなのだな。

と、思っていたもつかの間、一時間後にその問屋から電話あり。水戸保健所の「指導」により、たとえ医師であろうとも医師法に基づき直接販売はできないということになりましたと。もしどうしてもというのなら、沖縄県医師会から水戸市医師会に依頼をしてもらい、水戸市医師会から発注というふうにしてもらわないと困るのだと。

はあ? である。

いやいやいや、これは被災地で起きている出来事であり、そんな悠長なことは言ってられないのですよ。問題のポイントがぼくにはわかりません。都道府県をまたいでの医薬品の売買は震災後の臨時措置で認められているわけだし、もし所属団体が発注するべきだというのであれば、ぼくの所属する沖縄の病院長から直接発注という形で十分じゃないでしょうか。

対応しているおねえちゃんは、明らかに困っている。彼女は、個人としてぼくの(つまりは被災地の方々の)応援をしているのであるが、彼女の「上」が必要以上に問題を大きくしているのだ。

「わかりました、そのことをまた相談してみます」と彼女は言って電話を切った。なんとかぼくの要望に応えたいと明らかに彼女は思っている。

うわあ、しっかし、久しぶりに腹立ったなあ、と思っていたら、再びドクター山代兄からメール。「こっちの開業医さんのルートで明日手に入ることになりました!」と。ありゃりゃりゃりゃ、先ほどの彼女に慌てて電話して、すんません、たったいま解決しました! まあ、なにはともあれ、よかったではあるが。彼女もとても喜んでくれていた。

しかし、なんだろうなあ、ある目的を達するために手を尽くすということを、どうしてある種の「力のある」人たちはやってくれないんだろう。ぼくのような人間より保健所の人や医師会の人というのは、ずっと力がありネットワークも広いはずだ。「できない理由をさがす」より「できる方法を見つける」ことに力を注いでくれれば、世の中はもっと過ごしやすくならないか?

ましてや、いまは非常時なのだ。普通の人がおろおろとするこの時に、いわゆる専門家はよしとばかりにプロの視点でさまざまなルートを開拓し、困っている我々をすくい上げるべきではないのか? できるはずだ。やれば、できるはずだ。

今回のこの個人的プロジェクトの中で、まず第一に学んだことは、巨大な組織は動きが遅いということ。彼らはまず自分をプロテクトすることから発想と行動を始める。柔軟で素早く、そして時にびっくりするような集中力を示すことができるのは、個人の力だ。

だけど、残念なことに、その個人のびっくりするような力を巨大な組織は削いだり押しとどめたりするのだ。

さ、明日は早い。これでもう寝ます。
次ブログを更新できるのはいつになるか分かりません。
おやすみなさい。

2 件のコメント:

  1. 自戒を込めて
    騒いでも解決できないこともあります
    特に混乱の中にある被災地では
    それが更なる困難を招きかねません
    bestでないがbetter(どこかできいたことばだな)
    冷静さがもとめられるんですよね
    大槌でもいろいろ学んでいます

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  2. そうですね。
    熱いハートと冷たいアタマ。
    ぼくも自戒をこめます。
    そのエネルギーを本来の目的に。
    ありがとう。

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